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不可解な立ち合い不成立で白鵬関が破れる。審判部は、立ち合い厳正化のガイドラインを策定すべきだろう~2016年名古屋場所12日目~



12日目、白鵬関と照ノ富士関の結びの一番は、行司の式守伊之助の立ち合い不成立の判定が勝敗を分けた形になった。


不成立となった立ち合いでは、照ノ富士関が左に変化したことで逆に体勢を悪くしたため、
そのまま取り組みが続けられれば横綱有利な展開になっていただろう。

逆に成立した2度目の立ち合いでは、白鵬関があっさりと右上手を許し不利な流れとなり土俵を割ってしてしまった。

白鵬関にとっては優勝が遠のく黒星を喫する結果となっただけに、
受け入れがたい立ち合い不成立となってしまったが、正直この判定には首を傾げざるを負えない。


何度も両者の立ち合いを確認したが、白鵬関も照ノ富士関も手つきは十分と言って良かったし
下ろした手が仕切り線をはみ出すような事もなかったのだ。
呼吸もお互い合っていたことを考えても、立ち合いは間違いなく成立していたと判断できる。


もし、不成立の要因があるとするならば、照ノ富士関が立ち合い変化して大きく体が動いたことを、
立ち合いを嫌って仕切り直しのため立ち上がったと誤解して止めたというケースが考えられるが、
その場合立ち合い不成立は完全に誤審である。

それ以外では、最後に付いた白鵬関の左手の付きが浅かったということになるが、前日の魁聖関との1番では同じような手付きで立ち合いが成立していることを考えると、
同じ仕切りであるにも関わらず日によって判定が変わることの証明であり、一貫性の無い判定をしたということで批判されても仕方が無い。

加えて言うならば、立ち合いを何度も確認していると、行司の式守伊之助の視線が非常に気になった。
仕切り成立直前まで、最後に手を付こうとする白鵬関の左手を注視しすぎているように見えたのだ。


仕切りが成立を確定させる付き手に注目するのは当然の事かもしれないが、それゆえに二人の力士の状況を把握できなくなってしまい
それが前述したように照ノ富士関の仕切り直しとの誤解を生んで「待て」の声をかけてしまった可能性はないとは言い切れない。

立ち合い不成立の理由が公表されていないため、今挙げた内容は推測の域を出ない話になってしまうが
そもそも、そこまで式守伊之助が付き手を注視したのは、先場所から審判部が進めている立ち合いルールの厳正化の流れを汲んだものだと思われるが
この流れ自体が取組に悪影響を出していると感じてならないのだ。


以前、このブログにて取り上げさせてもらったが、立ち合いのルール厳正化自体とても素晴らしい動きだと思う。

相手と呼吸を合わせて、しっかり両手を付き、立つ。

手をつかない力士や、チョンと手を付いて自分勝手なタイミングで立つ力士が多くなる中、所作の美しさも見どころとなる相撲本来の魅力を
観客にしっかり見せたいという考え方に、全面的に賛成である。


しかし、先場所この立ち合い厳正化の導入によりあまりにも多くの取り組みで立ち合い不成立が連発することになった。

それもそのはずである。

実際に相撲を取る力士からすれば、立ち合いの出来如何が勝敗を大きく左右する相撲という競技の性質上、相手と呼吸を合わせるべきなのはわかるが
勝つために少しでも自分有利に立ち合いたいという気持ちになるのは仕方ない事なのである。

また、行司にとってもこの流れは負担の大きいものになったのは間違いない。
なぜなら、立ち合いで両力士の手が確実についたかを判断するのは至難の業なのである。

そして、例え正しく手つきを判定できたとしても、長年染みついた立ち合いの感覚を力士たちは容易に変えられない場合があり
何度も仕切りなおした後に成立した立ち合いも、結局不成立となった仕切りの動作とほとんど変わらないような場面が見受けられた。

ちゃんと判定しようにも、注意された力士が対応できないのでは結局手付き不十分なまま立ち合い成立となり、相撲の流れを止める結果となってしまった。


厳正化により多少なりとも各力士がしっかり手を付こうとしているのはよいのだが、
手が完全についていないにも関わらず立ち合いが成立したり、成立したように見えても「待て」がかかる観客が混乱する
取り組みが、今場所は先場所の反省から厳正化を少し緩めた傾向があるため減ってはいるようだが、相変わらず続いている。



今にして思えば、立ち合いの厳正化というのは、野球で言うところのストライクゾーンが変更されるほどの大きな影響をもたらすものだったという事なのだろう。

力士にとってもそれを裁く行司にとっても

「次の場所から導入するから、対応よろしく!」

と言われてすんなり対応できるほど簡単なものではないのだ。

その結果、混乱が生じこの日の結びの一番の様な優勝を左右する重要な1番で
不可解な立ち合い不成立の判定が結果に至った。

つまり立ち合いの厳正化を実施したはいいが、いくつかその内容を修正しなくてはいかない局面を実施2場所にして迎えているのだ。
混乱を早く収束させるために、私は立ち合い厳正化のガイドラインを決めて以下の様に和らげるべきだと審判部に提言したい。


①:立ち合いは、両手を地面に付ける所作を必ず行う

②:①が理想だが、手付きが浅い、もしくは付いていない場合でも両者の呼吸がしっかり合った場合は基本待ったはかけずに取り組みを続ける

③:あまりにも、手つきを行わない、呼吸が合っていない場合は止める


このように変更すれば、力士・行司共に負担が減り、立ち合い不成立が連発し流れがぶつ切りになるようなこともなくなるだろう。


冒頭で、式守伊之助はミスジャッジをしたので猛省すべきだと書いたが、行司も人間である。いつも正しい判定を下せるわけではない。

また、力士には立ち合いの所作の美しさを求めるべきであり、そこは継続して実際に取り組む力士を常に教育していく必要があるが
うまく相撲が取れなくなるほど、立ち合いを整えようと強制するのは結局観客に良い相撲を見せられない結果となり本末転倒なのだ。

力士行司ともに、取り組みの際には大きなプレッシャーにさらされる。
少しでも負担を減らすように動きながら、立ち合いを改善していければ良いのではないだろうか?


40年ほど前のいわゆる輪湖時代には、ほとんど手付きを行わずに呼吸のみ合わせて立ち合っていたのだ。
時代とともに、所作の良し悪しも変わっていくことを考えて、ある程度柔軟なガイドラインの策定を審判部には求めたい。

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