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勝つために最適化してしまった白鵬関。誰かが勝って止めなければならない。~2016夏場所11日目~


夏場所もいよいよ後半戦に突入した。

全勝を維持する白鵬関と稀勢の里関は今日も勝利しお互い首位の座を譲らない。
最後まで楽しみな相撲が続きそうだが、今回は物議を醸す白鵬関の相撲を取り上げたいと思う。

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今場所も白鵬関は、大きな批判に晒されている。
批判の的は、先場所から続く立ち合いでのエルボーと言って良いかち上げと、その後のダメ押しという一連の行動についてだ。


ダメ押しについては、これは熱くなりすぎる性格の問題だと今場所解説を担当された宮城野親方が説明してくれた。
勝負にこだわる余る、周りが見えなくなるのだろう。

それでは、かち上げについてはどうだろうか?

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今場所9日目に、勢関の顔面にかち上げをまともに喰らわせた場面が記憶に新しいが、
そもそもかち上げとは

主に前腕を胸に構えた体勢から相手の胸にめがけてぶちかましを行う事(Wikipediaより転載)

と定義されている。
顔面を意図的狙う行為は、そもそもかち上げではなくエルボーなのだ。

相撲の技から逸脱した立ち合いを行なう白鵬関に対し、相撲協会からは特に注意などは行われてはいない。
以前、同じような危険なかち上げを入幕間も無い大砂嵐関が連発し非難を受けていた際も、
師匠の大嶽親方からの指導に留める事で決着していた経緯を考えると、大相撲のルールに違反する取り口では無いようだ。

解説の元横綱北の富士氏も、
「ルールの範疇内だから相手がなんとかしなければならない」
とコメントしている。
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ただ、相手に大きな深刻な怪我を負わせかねない立ち合いは決して褒められる取り口ではあるまい。
なぜ白鵬関が、そのような相撲を取ることを選択したのか?

答えは簡単だ。勝利するためである。
もっと正確に言うなら、衰えていくなかで15日間勝ち切るために今の相撲を取っているということになる。

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白鵬関は昨年の秋場所を休場し、続く九州場所、初場所と賜杯から遠ざかった。
しかも、2場所ともに終盤に横綱らしからぬ呆気ない相撲で連敗して優勝を逃すという内容だった。

2場所続けて、いままで見せたことのない姿を見せた横綱に対し、周囲は途端に「白鵬は衰えた」と声高に意見するようになった。

おそらく、その指摘は正しかったのだろう。
休場の原因となった右肘の状態は、完治が難しいほどのけがのようだ。
また15日間相手を受け止めて倒すという横綱相撲では、体力と集中力が続かなくなったのだと思われる。

そんな中で臨んだ、春場所。
4場所振りの優勝に向け気合十分で迎えた初日のはずだったが、なんと今まで負けたことの無い宝富士関に簡単に敗れてしまうことになる。

白鵬限界説がいよいよ現実になったと色めき立つ中で、白鵬関は冷静に決断したのだ。
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勝つためには手段を選ばないということを。

そして白鵬関は変貌した。
体力を温存しながら相手を潰すような、危険なかち上げを選択するようになった。
この戦法を敗れる力士はおらず、初場所2日目以降今に至るまで続いている。

このスタイルに変わってから、横綱は確かに15日間を通して勝利を積み重ねられるようになった。
限界説のきっかけとなった終盤戦の崩れも見せず、むしろ終盤戦で全盛期を彷彿とさせる気合の乗りを見せ36度目の優勝を果たした。


つまり、勝利のための最適化の結果が今の相撲なのである。

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白鵬関は、強さこそ横綱の本分と考えているのだろう。
それを考えると、ダメ押しをする理由も見えてくる。

衰える自分への苛立ち、周囲の批判への反発などいろいろあると思うが、
勝つために必要のない心配りなら、あえて行わないようにしているのではないか?

勝つこと以外に不要なことは、排除するという
言うなれば相撲だけでなく、勝つために心も最適化しているのではないだろうか。


しかし、勝つことを選んだ白鵬関が春場所の優勝インタビューで浴びたのは、
勝者への称賛と同程度かそれ以上に大きい、乱暴すぎる相撲と粗暴なふるまいへの非難の声だ。今場所もそれが止む気配はない。


前述した大砂嵐関は、かち上げで幕内力士に猛威を振るって好成績を収めていた頃はファンから共感を得られず、決して声援を送られる力士ではなかった。
かち上げをやめ、気持ちの良い相撲を取るようになって徐々に人気が高まり角界を代表する人気者になったのだ。

結局勝ちを積み重ねることができたとしても、相手を負傷させることをいとわない乱暴すぎる相撲は気持ちが良くないものであり、
相撲ファンに受け入れられることはない。

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今の白鵬関を否定するのは簡単だ。だが、勝ち続けなければ批判される横綱という地位の重みを理解し
勝つために最善を尽くしている孤高の横綱を否定したいとは思わない
ただ、今の相撲を続けていてはファンの気持ちはますます離れていくだろう。
例え、勝利者として記録に残ったとしてもファンの記憶には、乱暴な横綱としてしか記憶されない。
これほどの実績を持つ横綱がキャリアの晩年で自分の名前を不本意な形で汚すのは、悲しすぎる。
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だからこそだれかが、かち上げを上回る相撲で見せて、白鵬関を負かしてほしいと思う
そして、この相撲では勝ちきれないという事を自覚して、ファンが受け入れられるうえで15日間勝ちきれる相撲を模索してくれることを願っている。




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6点・・・特筆すべき内容がない勝利
5点・・・特筆すべき内容がない敗北
※不戦勝は6点

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