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9日目の宝富士戦の姿が、横綱稀勢の里の責任の取り方なのだろう



九州場所も10日目を終えて、いよいよ後半戦に入ってきた。

いよいよ今年最後の大相撲も、佳境に入り盛り上がりを見せてくるところだ。

しかし、ここで残念なニュースが入ってきた。

横綱稀勢の里が、10日目から休場となったのだ。

9日目の時点で5敗と黒星が先行し、状態が悪い事が分かっていたので仕方がないところだろう。

■休場は妥当な判断だ

稀勢の里の休場の理由は、腰部挫傷、左足前距腓靱帯損傷とのことだ。

以前投稿した記事にも書かせてもらったが、

「稀勢の里の左足首の怪我は深刻だ。 悪化する前に休場すべきだろう」
sumo1982.jp/blog-entry-142.html



今場所の稀勢の里は、
左足の状態は相当悪く、相撲を取れる状態ではなかったのだ。

場所前の稽古では、嘉風や琴奨菊といった実力者相手に三番稽古で圧倒し状態の良さを示したが
本場所で本気の相手とぶつかり、相撲を取るには十分な状態ではなかったのだろう。

これから、豪栄道や白鵬といった上位戦が組まれることを考えれば
怪我をこれ以上悪化させないために休場を選択したの間違いではない。

綱の責任を果たしたいという気持ちはわかるが、ここは怪我を癒す事が先結だ。

そして、今にして思うと
稀勢の里は9日目の宝富士との一番に今場所の全てを賭けていたように感じられるのだ。


■宝富士戦が今取れる全力の相撲だった


稀勢の里は、通常立ち合いの際に左足で踏ん張って前に出る。

しかし今場所は左足に負荷をかける事が出来ず、右足で踏ん張っていた。

宝富士との取り組みを見てみると、立ち合った後、通常の左足で踏ん張っているのだ。

これは前日の逸ノ城戦から、連日で見せていたのだが、

怪我をした足を使ってでも勝ちたいという稀勢の里の強い気持ちの表れだろう。

そして、これまでほとんど掴んでこなかった、生命戦の左の下手廻しを最後まで引いて離そうとしなかった。

完全でない左上腕と左足をかばうため、ほとんど廻しを引かなかった稀勢の里が
痛みを堪えて必死に廻しを掴んでいた。

まるで、怪我による不振という濁流の中で必死に何かを掴もうともがいているように見えた。

ただ、稀勢の里の身体は、もう限界だった。

宝富士が、左の下手投げを打つと
稀勢の里は、ばたりと土俵に倒れたのだった。


正直、宝富士の下手投げはそこまでキレがいいものではなかった。

怪我をする前の稀勢の里であれば、しのぐことができただろう。

しかし、この日の稀勢の里は、耐えられなかった。

立ち合いで左足を使い、
今場所見たことのない、左下手廻しへの執念を見せたにも関わらずだ。

つまり、今の稀勢の里は
全力を出しても、平幕力士に勝つことができないという厳しい状況なのだ。

簡単な下手投げに耐え切れず倒れこんだ横綱の姿は、
2場所連続優勝で輝いていた頃に比べあまりにも無残でみじめだった。

しかし、この姿こそ稀勢の里が選んだ、
横綱としての綱の責任を果たそうとする姿なのだろう。


■たとえ無様でも、最後まで全力で戦うこと。それが稀勢の里の横綱としての責任の取り方なのだ


稀勢の里の今場所の相撲を振り返ると、
初日の玉鷲戦から相手の突き押しに下がる際に、左足を浮かしていることがわかる。

この左足では長く戦えないことは本人が十分理解していたはずだ。

そして、相撲を取り続け何とか、7日目まで白星を先行させたものの
中日の逸ノ城戦では、全く相撲にならず稀勢の里は敗北した。

勝った逸ノ城から、気を使われる程の惨状だった。

この時点で、すでに休場を決断してもよかったはずだ。

むしろ休場してこれ以上金星を配給しない方が
横綱の権威に傷をつけない賢い選択肢といえる。

しかし、稀勢の里はその選択肢を選ばなかった。

怪我でかばっていた左腕と左足を限界まで使うという
やり残したことを果たすために。

金星配給横綱と批判を浴びようと、全てを出し切ってから休場を決断しようときめたのだ。

今場所向こう正面の解説をしていた、元若の里の西岩親方は

「横綱として、勝つために必死な姿を見せることを稀勢の里という横綱の形にすればよい」

と話していたが、
まさにそういうことなのだろう。

たとえ無様でも、最後まで全力で戦うこと。
それが稀勢の里の横綱としての責任の取り方であり、相撲道なのだ。


■復活に向けて、先行きは決して明るくない。

稀勢の里は、いまだかつてない苦境に立たされている。

左上腕の怪我のみであれば、戦い方を変えるという考え方もできたが
今場所途中休場となったように、左足の怪我を抱えた状態ではそもそも満足に
戦うことすらままならないのだ。

身体が強く怪我とは無縁だった稀勢の里だけに、
怪我により、長期に渡り本来の相撲が取れないのは初めての経験だ。

このような状況になったからには、
進退を問うと盛んに囃し立てる雑音は無視して
左足の怪我が完治するまで本場所のみならず、巡業も休むべきだろう。


稀勢の里は、横綱に昇進するまでも決して順調に歩んできたわけではない。

むしろ、何度も期待されてはそれを裏切り、また一歩ずつ進んで逆境をはねのけることを繰り返した末に
横綱にたどり着いた男だ。

かつてない苦境ではあるが、この怪我も乗り越えてまた本来の力強い相撲を見せてくれると
信じている。


稀勢の里の嬉し泣きをまた見たいものだ。

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